1-2・遠州弁し行

じょうぶい

「丈夫な」・「丈夫だ」などと言っている。三河の衆も使うのを聞いたことがあるし検索しても相当数ヒットするので広範囲で使われる表現であろうが一応遠州でも使ってるよということで記載。

「だいじょうV」とかいうCmから発祥した死語があったが、遠州人には「大じょうぶい」(大きく丈夫な)とも聞こえるというビミョーな言葉であった。なんちゃって。

「丈夫い子だで」(丈夫な子だから)・「こりゃじょうぶいわあ」(これは丈夫だわあ)「大丈夫じょうぶいで心配せんでも」(大丈夫丈夫だから心配しなくても)

例文

「馬鹿じょうぶいにいこれ。」

  (凄い丈夫だよこれ。)

「そんなじょうぶいだ?でも こっちんのも結構じょうぶいにい。」

  (そんな丈夫なの?でもこっちのも相当丈夫だよ。)

「つうか やごいの探す方が大変だらあ。」

  (というか丈夫じゃないの探す方が大変だよね。)

「昔とくらべてばったもん減ったでがんこ選ぶに助かるやあ。」

  (昔と較べたら粗悪品が減ったから随分選ぶのに安心だよね。)

「でもこんだ目移りしちゃってたまらんにい。」

  (でも今度は選ぶのに苦労するようになったんだよね。)

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しぬ

もうへとへとで「死にそう」と呟くのが共通語なら

遠州人は「死ぬ」と言う。

バタンキューな状態を「精根尽きた」と評すのが共通語なら

遠州人はそれを「死んだ」と言う。

「もう限界だあ」と白旗を揚げるのが共通語なら

遠州人はこれを「はあ死ぬう」と発す。

「それは無茶だろう」と諌めるのが共通語なら

「あんた死ぬにい」と物申すが遠州人。

へとへとなのを「くたばってるんじゃないよ」と突っ込むのが共通語なら

「死んでちゃかんて」と突っつくのが遠州人。

生死の生き死にとは関係のないところで、遠州では人は何度も「死んでる」。

あえて訳す必要はないだろうが、一応。「もう駄目限界」・「これ以上は無理」と音を上げてるというSOSの表現。もちろん本当にアウトならこんな事を言ってる余裕はないのであくまで冗句(減らず口)のひとつである。

まあこういう言い方は全国的なものだろうから方言の中に入れるのは間違っているけれど、頻繁に飛び交う(口癖みたいな)表現なので一応記載。男女共用で使われるがやや男用寄りであろう。

「あいつは今盲腸で死んでる」となれば「盲腸で休んでる(寝込んでる)」といった使い方も平気でする。軽い病なら通じるが洒落にならない病だと誤解を生じることが多々あるので注意が必要ではある。

遠州弁の感覚で「しにそう」だとまだ絞れるくらいの余裕残しと受け取られる。

「おい大丈夫か」という場合、「やあ死んだだ?」・女性だと「ほい しんでちゃかんに」とか聞かれて「はあ駄目死にそう」と応えたら「な~んだまだやれるじゃん。」と思われるということ。

当たり前の事だが、「○ね」という言葉は場の空気を闇に落とすもので共通語であろうと方言であろうと書き込みであろうと相手に向けて発して良い言葉ではない。

例文1

「徹夜は堪えるわあ。やっちゃおえんの。」

  (徹夜は堪えるなあ。やるもんじゃないね。)

「まだやれっつうなら わし ホント死んじゃうにい。」

  (まだ続けろってならマジで俺駄目だ。)

「そうけえ まだいけそうじゃん。あいつなんか見てみい、はあ 死んでるにい。」

  (そうかい?見たとこまだ大丈夫そうだけど。あいつ見てみなよ。もうすでにダウンしてるぜ。)

「ひとりだけ楽してけつかるなあ許せん。・・・やあ 起きよやあ。死んでちゃかん!」

  (ひとりだけ夢見心地なのは許せん。・・・おい、起きろよ。寝てるんじゃねえ。)

例文2

「こんだの日曜なにしてるよを。」

  (今度の日曜は何する予定?)

「なんもせんよ。家で死んでる。」

  (何しないよ。家でぼ~っとしてる。)

「どっかいきゃへん?」

  (どっか行こうよ。)

「めんどっちいでよすわ。」

  (面倒くさいんで遠慮するわ。)

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シーチキン

ツナ缶の代名詞で全国的な言い回し。まあ遠州弁じゃないけど。

はごろもフーズはしぞーかの清水にあり、そういう地元近隣という状況によって浜松ではマグロの油漬けといったらなんでもかんでも「シーチキン」と呼んでるといっても過言ではない。

全国的に「シーチキン」で通用するので方言ではないがその徹底振りは他県の比ではないであろう。ネットで調べるとシェアは全国では5割程とあったので他県では「ツナ缶」とか「マグロフレーク」とかいうこともあろうが、極論だが浜松ではたとえはごろもフーズのものでなくともなんでもかんでも「シーチキン」と呼ぶ。

したがって「シーチキン取って」と言われて他のメーカーのツナ缶をほいと渡しても「違うじゃん」と言われたりする事はない。逆に言えば「ツナ缶取って」と言われても一瞬なんのことかピンとこないということである。

例文

「あのさあ。いくらあせって作ったっつったってレタスにマヨネーズかけてサラダっつうのは芸がないらあ。」

「じゃなによを醤油でもかけるだ?」

「せめてさあシーチキン入れるくらいはして欲しいやあ。」

「醤油はかけんだ?」

「いや、かけるけどさあ。」

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しゃてえ・しゃってえ

弟の事。「舎弟」と書くが「しゃてい」とは言わず「しゃてえ」と発音するのが遠州弁。基本は男言葉。

「しゃってえ」(舎っ弟)という言い方もあるが、その違いは殆どないと思われるが多少「うちの愚弟が」といった謙遜というニュアンスになる場合がある。

共通語的にはその筋の世界の業界用語という扱いであるらしいが遠州ではごくごく普通に血縁関係にある「弟」のことを指す。「義理の弟な」ら「義理のしゃてえ」。

例文

「いやあ がんこおみやげくれてありがとね。持ちきれんやあ。」

  (いやあこんなに一杯おみやげ頂いちゃって、ありがとう。)

「みなきし持ってけるけ?なんなら送ってっか。」

  (全部持って帰れるかい?なんなら送っていこうか。)

「ああ大丈夫。しゃってえんとこ電話したではあじき車来ると思うで。」

  (それは大丈夫。弟に電話したんでもうじき車で来ると思うから。)

「そうけえ、んじゃ気いつけて。おやすみね」

  (そう、それじゃあお気をつけて、おやすみなさい。)

「うんありがとね。おやすみね。」

  (本当に有り難うございました。おやすみなさい。)

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しゃりしゃりする

色んな遠州弁を紹介するHPとかにお伺いして拝見すると所々に記載されている

「しゃりしゃりする」

意味は「エラそう・図々しい・落ち着きが無い・しゃらくさい」とかだそうだが感覚として「しゃしゃり出る」みたいなものと捉えればいいのだろうか。

しかしながら私の育った集落ではそういう使い方はなく

「砂入ったもんで口ん中しゃりしゃりする。」

みたいな使い方しかしなかった。まあほぼ共通語的な使い方であろうて。

「林檎を食べるとしゃりしゃりと音がする」みたいな。

どこの集落の言葉なんでせうかね、かく遠州弁での使い方というのをする地域というのは。もちろんこういう遠州弁もあるということを否定する訳ではありません。できれば使われているエリアを知りたいところです。

「こんきい」(疲れた)は三河と隣接してる地域の言葉らしいとか「おんしゃ」(貴様)という言葉は浜北の言葉ではないかとかおぼろげに想像できるのと同じようにこの「しゃりしゃり」するのもどこの言葉か知っておきたいということです。

例文に関しましては私は使わないため使い場所が分かりませんので略とします。

続きを読む "しゃりしゃりする"

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次男坊

言葉そのものは共通語で意味的な地方性とかは存在しないのだが。

共通語だと子供に対して使う表現で大人に対してあまり使わないが遠州では幾つになっても使うところが地域性であろうか。

自分の弟を指す場合は「舎弟」・「舎っ弟」。

よそ様の弟を指す場合に「次男坊」と言う。もちろん三男なら「三男坊」。

例文

「あそこんほんやけえ。」

  (あそこが本家なの?)

「あそかぁしんや。次男坊んちでえ。」

  (あそこは分家。次男の家だよ。)

「ほんじゃほんやはどこよを。」

  (それじゃあ本家はどこなの?)

「わしんちでえ。」

  (俺の家。)

「うっそお。おんしゃあ次男坊にめえるやあ。」

  (ホントかよ。お前の方が弟に見えるぞ。)

「つうかわし間借りの居候だもんで。ほんやはいとこでえ。」

  (というか俺間借りしてる居候。本家はいとこなんだ。)

「なんだぁ。ややこしいなあやあ」

  (ああそうなの。複雑なんだね。)

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しょんないらあ

「しょうがないだろう諦めろ」という意味。言い訳の場合には「こういうことだからしょうがないだろう納得してよ」という意味で使われる。この言葉の前に理由もしくは言い訳が述べられていることが多い。同意を求めているニュアンスを含むのでこういわれたら返答を返さなければならない事が多い。

「しょんないじゃん」の場合には単純に「仕方ないだろ」という意味で同意を求めるニュアンスではない。むしろ強制的に納得させようという強引さがあることが多い。

「しょんないにい」だと「予め行っておくけどしょうがないよ」という予告しょうがないみたいな感じ。

「しょんないだあ」だと「しょうがないんだよ」というお手上げ状態で自分ではどうしようもないと諦めている状態を述べている。

「しょんない」は共通語だと「ドンマイ」と同じ励まし的な使い方や因果を含める感じがとか多い。ただし「まあしょんない」はこういう使い方だが「ホントしょんない」だと使えない奴という意味になって必ずしも「ドンマイ」的意味ばかりではないのだが。

例文

「これ発送期限今日の午前までじゃなかったっけか。」

「さっきい気いついただよ。でもはあ間に合わんでえ。だで今更届けえ行ってもしょんないだあ」

  (さっき気づいたんだ。だけどもうどうせ間に合わないから今更届けに行っても仕方ないんだ。)

「馬鹿こいちゃかんて。行って置いてこんでどうするよを。頭下げるくらいしんと次無いにい。」

  (何言ってるんだ。行って置いてこないでどうするって言うのさ。謝るくらいのことはしないと次は無くなるよ。)

「ゆうとっけど納期のこんじゃないだあ。どっちゃみっちゃうちんとこのははあ使わんって言われとっただで、持ってっても結局返品になっただで。ホント、はあなにしてもしょんないにい。」

  (言っておくけど納期の事じゃないんだ。どのみちうちの商品はもう使わないって言われてたんだから。持って行っても結局は返品になるんだ。本当にもうなにしようがどうしようもないよ。)

「お得意さんなくいたっつってそれまるさら課長にゆえりゃあわし別に構わんけどな。」

  (お得意さんをなくしたってことをそのまま課長に報告できるんならまあ別に俺は構わないけどね。)

「課長諦め悪くてホントしょんないでな。ぐちぐちゆわれかねんでそんなこたあゆわんけど。」

  (課長諦め悪くてしつこいからなあ。ねちねち言われかねないからそうは言わないけど。)

「じゃどうゆうよを。」

  (それならどう言い訳するんだ?)

「しょんないらあ?だですっとぼけまいか。」

  (どうしようもないだろ。だからさ、すっ呆けとこうよ。)

「やなこったい。しょんねえやっちゃなあ。わし知らんでねえ。」

  (御免こうむる。どうしようもない奴だなあ。俺はどうなっても知らないからね。)

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しょーもなっ

言い切るところが味噌。打ち止めというかそれくらいでこの話しはやめといったところであろうか。ほぼ関西系の言葉で別に方言でもないのだが。

個人差は勿論あるが、しぞーか県民は基本ツッコミのある笑わせ方を得意としない。ただしプロの芸人さんとかの話ではなく普段の会話とかでのお話しである。

あくまで勝手な想像だが、ひとつのボケに対してその都度ツッコミをいれて話しの流れを切るものよりもいくつボケを積み重ねることが出来るかということに快を感じることの方が受ける体質なのではないのかと。どちらかといえばつっこまなずに呆れる・呆れられるのを楽しむ傾向にあるといえようか。つまりボケたらボケたおせということであろうと考えている。

これが「しょんねえやっちゃなあ」だと後で言って聞かせるみたいな呆れた感じになるのだが「しょーもなっ」であれば一応は受けたと言うことになる。

近い用途の言葉では「馬鹿じゃん」・「はいはい」が使われるか。もちろん意味はそれぞれ異なる。

例文に関しては私は固いことしかいえずボケのアイデアがないので略します。

「笑かしてくれるじゃんかあ。いっつもくだらんことばっかゆっとってよをゆうわ。」

ふんだだことぬかすな。いっつも真面目じゃあ。

「余計悪いわ。しょーもなっ」

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しゃああんめえ

遠州弁かどうかは定かではないが普通によく使われてることは確かである。(ジオンの)シャアよ甘いなとかいう意味では当然ない。

「しょうがないだろ」とかいった諦めろよといったニュアンスの言葉でこれ以外にも

「しゃあないらあ」・「しょんないじゃん」・「しょうがありもしん」

とかがある。「しゃああんめえ」は基本野郎言葉なので女性が使うことは稀である。

例文

「釣れんねえ。」

「釣れんなあ。」

「どうするう?」

「なにがあ。」

「帰らすかあ。」

「坊主でか?」

「しゃああんめえ?釣れんもんわ。時間も時間だしい。」

「しょんねえの。」

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しらんわ

あきれてる・もう勝手にしな・ついていけないとかいった呆れた意思を示す時によく出る言葉。

完全に関西系の表現。遠州でも使うということで。

近い言葉で「しらんにい・しらんでえ」というものがあるが、こちらは呆れたではなく見捨てるという意思を示す。

例文

B・「てんめえ。人のこんより金の方が大事なら金握って地獄に堕ちくされ。」

  (お前なあ。金の方が大事なら金握り締めて地獄に堕ちやがれ。)

A・「ふんだ。地獄にだっていい人いるだもんでとんじゃかないにい。」

  (へへんだ。地獄にだっていい人いるんだからね。)

B・「なにそれ?」

  (なんだよそれ。)

A・「地獄のサンタも金次第っつうじゃん。」

B・「そりゃおめえ間違ってるぞ。それを言うなら地獄のサタンも金次第だらあ。」

C・「おんめえらなあ。二人揃ってボケかましてんじゃねえよ。そりゃなあやあ地獄の沙汰も金次第っつうだあ。」

A・「なによをそれ。」

B・「そうそうそれ。わしのの方が近いらあ。」

C・「しらんわあ。」

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