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*うめる

「埋める」という意味の方ではなく「ぬるくする」という意味で使われる「うめる」。

「埋める」という文字から「ぬるくする」の意味があるというのは想像しづらいところであるが、別に方言ということではなく

辞書においても「埋める」{他動詞下一段活用}の説明の中に「熱い湯に水を入れてぬるくする」という意味が載っている。

つまり遠州弁でもなんでもない共通語であるのだがなんか遠州弁らしい気がする言葉である。それは何故かというと「うめる」・「うめた」・「うめて」とかは共通語であろうが「うめす」・「うめんと」・「うめんで」とかにすると

「お風呂ん湯うちんちんだで、うめんと熱くて入れたもんじゃないにい。」

  (お風呂のお湯がとても熱いから水入れてぬるくしないと入れたものじゃないよう。)

「茶あ飲ますとしたらとてもじゃないけど うめんとちんちんで飲めたもんじゃない。」

「悪かったやあ、おいあんたあ うめんとかんもん出すじゃないにい。」

などなど「うめんと」とすることによって遠州弁らしくなる。「ぬるくする」というよりも「丁度良くする」と訳した方がニュアンスは近い。他の地域はどういうニュアンスなのかは知らないが遠州弁では「ぬるい」というのは適温じゃない状態をいうもので「ぬるくする」となると丁度いいという感じになるとは受け取れない。「うめる」というのは適温になるように水で冷まして調整するというもので「ぬるめる」と「うめる」は感覚的にイコールではないのが遠州弁での感覚である。

「ん」は「うめんとす」みたいな意思を表す「む」{助動詞特殊型}意思を表す。・・・う。・・・・よう。とも読めなくもなし。(「む」と「ん」は同じだからして。)でもちょっとひっかかるざらつき感がある。

「うめす」という言い方もあり「うめよう」という意味で使い方は「うめすとしたら」で「うめようとしたら」などである。「む」とした場合の「うめん」と「うめす」の違いはよう分からんが、

そうじゃなく考え方を変えて「うめんと」は「うめないと」と訳せなくもなくそれであれば「うめん」の「ん」は「ない」の撥音便化という考え方も有り得る。そうなれば「うめんと」(うめないと)と「うめすと」(うめようと)という違いが出てくることになる。

でも「うめんとしただけえが水がねえ」だと「うめようとしたけど水が無い」ということで「うめないと」では収まりが悪く必ずしも「ん」は「ない」だと言い切れない部分もある。

まあどっちかといえば「ない」の撥音便化という方が分がよさそうではあるが状況によりけりの両方使いということが落としどころとなろうか。

話しを変えてニュアンス。「うめる」は「ぬるくする」というよりも「熱を取る」・「冷やす」とする方がしっくりくるところであるが、実際の行為として水を使う以外で薄めたり冷やしたりした場合に「うめる」と発するかどうかについては

例えばお茶に氷入れて急激に熱を下げる事に対して「茶あ氷でうめる」と言うかとなると「茶に氷入れて冷やかす」もしくは「ぬるくする」と普通は言う。入れ物(器)を入れ替えて下げる場合や冷蔵庫に入れて下げる場合などでも「冷ます」・「冷やかす」を使う。

なので「うめる」はやはり水を使う場合に限られてるのかもしれない。

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