« まっすぐな男 その1 | トップページ | 曲げられない女 その1 »

*じゃん その2

「じゃん」の記事の補足というか追加というか。

「じゃん」にはおおよそ二通りの使い方があろうか。これが本家と呼ばれる相模の「じゃん」と同じなのかは知らない。あくまで遠州弁における場合の一例である。

ひとつは強引な訳ではあるが「じゃん」=「だよ(又は)よ」・「じゃんね」=「だよね」。こういう使い方の場合「じゃんか」は「~じゃないの」とかいう意味になる。「いいじゃんか」だと「いいんじゃないの」という風に。

「こっちがいいじゃんか安いし色もサイズも合うし。これにしない。」

  (こっちがいいよ安いしサイズも合うし。これにしなよ。)

「まあお財布と相談すりゃあこれくらいしか買えんじゃんね。そうしっかな。」

  (まあお財布と相談すればこれくらいしか買えないんだよね。そうしようかな。)

もうひとつは「じゃん」=売り言葉・「じゃんか」=買い言葉。こういう使い方での「じゃんか」は「~じゃないか」という意味になる。挑発の程度でいけば中か。弱めなら「だもんで」VS「よを」強めなら「らあ」VS「にい」。(あくまで一例であってこれ以外にもパターンは存在する)

先ず弱。

「さっきから言ってるだもんで応えてやあ。」

「聞こえんかっただでもっと大きな声でないと分からんよを。」

これが中になると。

「さっきから言ってるじゃん。聞いてやあ。」

「聞こえてんわ。もっと大きな声でないと分からんじゃんか。」

そして強だと。

「さっきいから言ってるらあ。聞いちゃいんだ?」

「なにい?聞こえん。もっと大きい声でないと分かりもしんにい。」

という具合で語気が荒く変化してくる。じゃんは弱からず強からずのいい塩梅の言い回しという感じである。

ちなみにこれらの上だと

「やあばかっつう聞こえんだ?」

「なにや?聞こえるようにゆえやあ。知らんわ。」

脱線したが元に戻して、「じゃん」に対して「じゃんね」とかで返せば相談という勢いとなり。

「じゃん」に対して「じゃんか」で応じれば言い合いという勢いになるということであろう。

では双方が「じゃん」で応酬したらどうなるのか。

「さっきから言ってるじゃん。」

「聞こえんで大きい声でないとわからんじゃん。」

共に相手の話し聞いてないようでなんとも間の抜けた感じになる。

双方が「じゃんか」で応酬したら、言いたいことだけ言ってる勢いが増すだけでこれも共に相手の言い分をなにも聞いていない噛み合わない感じになる。

売り言葉だけで会話は成立しにくいということであろうか。ただし以下の例文のように片方のみがヒートアップしてる場合とかもありうる。そういう一人「じゃん」の場合でも「じゃん」の連発ばかりでは締まらないので「じゃんか」を挿むことが多いのではと思われる。

例文

「どれにしっかな。どれもいいだいね。」

  (どれにしようかなあ。どれも目移りしちゃうんだよね。)

「そんな欲しけりゃじゃんじゃん買やいいじゃん。ふんでもって財布空んなって後で後悔すりゃいいだ。」

  (そんなに欲しけりゃドンドン買えばいいじゃないの。それでもって財布が空になって後で後悔しればいいんだ。)

「なによを。なんでそんなことゆうよを。」

  (え~。なんでそんな酷い事言うの。)

「あんたねえ、ちょっと付き合ってっつうもんで付き合ってやっただになに?はあ小一時間も過ぎてるじゃんかあ。どうしてくれるよを。」

  (あのねえ、ちょっと付き合ってって言うから付き合ってあげたのに。なんで?もう小一時間も立ってるんだよ。どうしてくれるのさ。)

「なにがあ。」

  (何がさ。)

「なにがあじゃありもしん。決めてから来いっつうの。忙しいだでねえわし。」

  (何がじゃないよ。決めてから来いっていうの。私は忙しいんだからねえ。)

|
|

« まっすぐな男 その1 | トップページ | 曲げられない女 その1 »

1-2・遠州弁し行」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/211000/47233035

この記事へのトラックバック一覧です: *じゃん その2:

« まっすぐな男 その1 | トップページ | 曲げられない女 その1 »