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剱岳 点の記

 初日に観に行きました。混むだろうなとは思ったんですがいてもたっても居られなくて観に行きました。田舎の映画館ではありますがそれでもやっぱり混んでました。でも何故か真ん中のいい席に座れました。これで運を使い切ったかも。でも感動したので本望かも。

とりあえず、私の観る前の立ち位置(事前知識)を説明すると、立山信仰は持ち合わせていない。山はハイキング程度で南アルプス及びその近辺を悦としてた(過去形)、漆黒の鉄兜塩見岳を敬愛するなんちゃって山登ラー。装備に地図は必ず携帯するが見方が良く分からんという知識レベルなので主人公達の行の崇高さや偉大さがピンときていない。原作は読んでいない。一応日本映画が好き。香川照之さんは役者として好き。木村キャメラマンの写真は思いつく限りでは、ぽっぽや・八甲田山・憑神。陽はまた昇るを観ている。ネットで調べたら日本沈没・小説吉田学校とかも木村キャメラマンということでそれなら観てるってことになる。番宣のテレビ番組は見ていて撮影中の洒落にならない笑い話(逸話)を知識として持って映画に臨んだ。・・・くらいでしょうか。

とか前置きしても意味無い程のストーリーがどうたらとか役者さんがこうたらと過去の作品からの影響とかの御託を並べる必要なぞないという余計な賛辞は返って惨事となるやもで、とにかく観た!スゲエ!というしか言わない方がいいなと思える印象でありました。(でも余韻ががんこ残ってるんで蛇足を書きますけど)

 これはもう映画ではなく活動写真でありまするな。活きる動く真を写すという奴でさあね。映画には映画の嘘というのが存在してそれが調味料として味を調えたりするものだけど、これは活動写真だから観たまんま継ぎ足しも間引きもしていない(実際はしてるだろうけど)生の素材で~んという感じでありました。何が活きてるか。山も人も風も雨もですわ。なにせ実景も本物歩くる人も吹き替えなしの役者さんご本人らしい。けれんがない分存外淡々に映るやもしれませぬが山に登った経験を持つ人ならもう十分過ぎる起伏(贅沢芳醇)を感じました。明治の人は頑健だったんですかねえ今の貧弱とは違ってとは思いましたけど。

全部の画が綺麗過ぎて、「このCGは凄いですねえ」と試写かなにかで感嘆した観覧者が居たなんていうおとぼけの人の気持ちが分からんでもない勢いでした。そうは多くは登ってないなんちゃって山登ラーの経験としてはあれだけのけっこい景色一回の山登りで一度でもお目に掛かれるかどうかのレベルですがな。贅沢すぎてその有り難味が登る趣味のない人には判んないんだろうなと思えないでもない。金の茶室みたいなもんでメリハリというのがあった方が後光の映え方も違って見えるだろうにと思わないでもなかったです。

客としてははとにもかくにも下手な考え休むに似たり(正しくは下手の考えですがあえて)。ただ黙々と観るのみで十分でありまして、たるむ部分がなくて139分と長いにも拘らず一気に観れました。120分超えると普段は内容追うよりも煙草が恋しくなってくる私にしては大変珍しいことでありました。

映っていたのは役者さんではなく苦行験者。演技というより明治の時代をまさしく追体験してる様を提示している再現者と映ります。そう考えるともっと観たかったな短かったかなと。でも120分超えてるんですから人の時間の感覚って愉しいと思えたらいくらでも数字を凌駕するもんですな。

音楽が良かったです。心象にリンクしてたというか画と見事に融合してたみたいです。なんかとのタイアップみたいな浮いた楽曲とかがなかったのがやはりいいのかしらむ。

詰めて言えばエンドロールの表示の仕方が示すように役者さんがどうのとか監督がどうのとかいう個の煌めきというより塊の魂魄が心打つと表現すればいいんでしょうかね。いい活動写真でありました。又近いうちに観にいかう。

でもパンフのいい方の値が結構して躊躇して買わなかったけど今度行く時また買うかどうか悩むだろうな多分。

 映画が始まる前にテレビで見かけるのと同じコマーシャルが流れていましたがあまり印象はテレビで観るのと変わんない感じがしました。というか画面が粗くて無理して大きいスクリーンで見るとどうかなといった疑問がなきにしもあらず。

 で、映画館の客層はというとこれが平均年齢が高い。1800円という標高は決して他を見下ろすような高価なものではないのに高かったです。多分みんな山登りしてそうだなと映りました。自分も若くはないですけどそれでもどうみても私より年長という人ばかりでぽちぽちと若いカップルとかが混ざる感じでありました。

若い役者さんが出演される映画の時によくあるうっとおしい光景のバカップルの会話はそういう年齢層ということでなかったんですが、実際に名所の山に登ってると聞こえてくる歩きながらの喧騒的駄弁リングがここでもあってうっとおしかったです。

さながら黎明期に孤高の山に挑む無言の世界という画面を観てるのに聞こえてくるのは現代に引き戻されるかのようで、ホントかしましい中高年の登山家のぺちゃくちゃがうっとおしいという環境と同じでありました。けっこい景色が映る度に(大きくはないこそこそではありますが)ひゃあひゃあ言い合う声が聞こえてきて勘弁してよでした。後半部は流石にそういったものは消え失せて集中出来ましたけど。

尚、勝手な想像ですけど、木村監督の画って以前の作品もそうですけど主役が映えるようにとかいった特別扱いとかせず登場人物+風景をあまねく平等に写し取る人なんだなというのが薄ら仄かに思えました。そういう画全体で魅せるだけに監督が意図した色味が私の行った映画館で出てるのかなと思ったりもしました。山の空気の色(無色ですけど)や山の宵の色が私が拙いながらも体験したものと微妙に感覚が一致しなかったもので。季節・場所が違うんだからと言われてしまえばそれまでですけど、それを確認するには試写の際事前に監督自ら映像をチェックされたこともあったとかいうのをブログで読みましたが、そういう場所で観て確認してみたかったなあと。せんないことですけど。

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