« *くさる(で、早口言葉) | トップページ | *ほっぽなげる »

ドラマ 黒部の太陽 後編

 本当に誰が主役と言い切れないほどの群像劇でありました。エンドクレジットの表示が五十音順というのも非常に頷けます。

とにかく画が綺麗でしたね。山の画が好きです。四季の移ろいがどうのこうのじゃあなく私、山の空撮は好きくなくてこのドラマのように山は地に足着いて息を感じ仰ぎ見るか分け入るものと思っていまして。そして目線から低い山でも山は見下ろすものであって見下す(みくだす)ものではないと。そうしないと山に流れる悠久の時間の流れというものが感じられないもんですから。そういうものがきちんと画になっているようで好きですわこのドラマの画は。見てくれが雄大でも空撮では映らないものが多すぎると思っています。

後編になってより現場の緊迫感の臨場感がびしびし伝わってきて、仮想体験(想像キャラ)として自分がドラマの中の登場人物として潜り込もうにも自分の居場所が見つからないというか役回りがないというか。主人公の気持ちになってとかいうレベルじゃなくて、漢と書いて「おとこ」と読む世界はなまちょろな私ではホント身の置き場がない感じでした。しいて探せば音を上げて「ハハ キトク スグカヘレ」の電報握り締めてそれっきり戻って来ない作業員くらいでしょうけどそれじゃあドラマについて行けなくなるんで苦労しました。でも置き去りにされた感じはしなくて前編同様あっという間の勢いでした。

観終わっていい訳を考えるなら、お邪魔虫で都合のいい時だけ出没する報道記者のアシスタントみたいな気になって観てたのかなと。

当たり前の事だろうけど、大事を為すにおいてすべての人がベストを尽くす事が必須の条件でありこの事業が成し遂げられたのはこの条件を満たしていたということなんでしょうね。そう思える程上から下までかっこいい仕事人の集合体でありました。でも時代が大人達が夢の実現に向かって馬鹿やれた(無謀かもしれない挑戦が出来た)風潮が存在してたんだろうなと羨ましい感じがします。意気に感じるとか使命に燃えるとかが先行していい時代で結果を怖れないところが成果を追求する今と違うのかなと小物の私としてはそう思ったりなんかして。

前門の破砕帯後門の後顧の憂い。先の見当がつかなく虚しさが募る作業と順調に行かない不安から家族の心配や自身の迷いから諦めたくなる気持ち。こういう時こそ支え合わなくちゃならない同じ釜の飯を食う仲間が脱落しかける様は停滞の時期で観ていてしんどかったです。不屈というには随分と迷いが見受けられましてやはり生身の人間がやってるんだなあという思いになります。この停滞を乗り越えてこそのエンディングに向かう感動というものだと言い聞かせてチャンネル浮気しないで堪えて観てました。

親方(香取さん)「それこそ山勘だ」とかギャグかましてましたけどジョーク言うんですかね。他にも言ってられてたみたいですけど大雑把に見直しした時見つけられなかったのですが、へらず口も含めて苦しい時こそ笑えという前向きなお人なんでしょうねきっと。そんな親方でも幸江(綾瀬さん)との恋は実らず歯痒かったですねえ観ていて。結婚するんですといった時に「行くな」と言えば済むことなのにその一言が言えないってのは分かっちゃいるけど言えないんですよね。女性の方にしてみてもあれが精一杯の「私の事どう思ってますか?」という求愛でしょうからあの当時は。つくづくもったいないことをする親方だなあと思いました。今の世なら平気の平左で「行かないで」と哀願してでも意地もなく言えるんでしょうけどあの当時じゃあやっぱ無理なんだろうな。女性にゃからっきしだけど男相手にゃ惚れさせるって感じでまさに親方と呼ぶに相応しい勢いでした。それに親方を演ずる香取さんに違和感なぞまったく感じませんでしたし。

社長さん(中村さん)もエエ人やあ。親方との対面に至るまでの行動理由が心打ちました。その後の踏ん張りもかっこよかったし、確かにこの人にならついていこうと言う気になりますです。料亭の席でのみなさんかっこよかったです。上に立つ者の鏡みたいでした。ああいう形式(格式)ばった中での腹を割った劇みたいなことでも現実に行なわれているんだろうなというリアル感がありました。

滝山(小林さん)もこれぞ仕事師という泣いて堪るかの生き様がかっこよかったなあ。親方の仕事人とは違ったプロ(専門職)の凄さが迫力ありました。使命の為なら家族も泣かす。泣かすは芸人ばかりにあらずの美学?悲学?。尊敬と敬服に尽きる感じです。

女性陣では、親方のお母さん役の泉ピン子さんが印象深かったです。シーンとしてはお盆で迎え火焚いてるシーンが良かったなあ。女性は髪の毛のごわごわ感や化粧の違いに対応できず時代が遡れないお方が多いのですが泉さん風吹ジュンさんと浅野ゆう子さんは流石です。きっちり時代を感じました。これは年齢の若い若くないの違いというものではないような意識の問題かと。仕方ないのかもしれないですけどね。

背景はとにかく車や家の景色とかよくぞという勢いでありました。黄色いトロッコ列車?みたいなのはCGだろなと思える作りに思えましたがそれ以外はほんと物凄く細かいところまで時代考証されてたんでしょうね凄い凝り様に映りました。

ホント各人それぞれ画になっていてみんな主役だからそれぞれ書いてたらキリがないのでありますがとにかく印象深いです。すべてにおいて万々歳と諸手を挙げてこのドラマを礼賛するつもりはございませんが、とにかくいいもん観させていただいて感謝しますです。

|
|

« *くさる(で、早口言葉) | トップページ | *ほっぽなげる »

2・2009年のテレビドラマ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/211000/44432908

この記事へのトラックバック一覧です: ドラマ 黒部の太陽 後編:

« *くさる(で、早口言葉) | トップページ | *ほっぽなげる »