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ありふれた奇跡 その11

 あぶれた軌跡を描いて来た二人が荒ぶれた奇跡を経て最後はあふれた奇跡に辿り着く。一体どこがありふれてたんだろ。

「あぶれた軌跡」とは自殺しようとした特異な経験値を持つ者達の生き様。つまり世間から一時期あぶれてしまった経緯を持つ者ということで。

そして、二人が交際(結婚までは描かれていないから)する事は家族全体が交際する事というのが大前提となっているようで。あちらを立てればこちらが立たずという中で、最終回は肝心の二人の覚悟の確定と最後にして最大の障害であるおじいちゃんの説得が描かれていた風に解釈しました。その説得と確信への手段が「荒ぶれた奇跡」かなと。

子は鎹。それが他人の子であっても?捨て子を預けられたことによって擬似新婚さんの体験でもしたんでしょうかねえ。その後のホテルでの睦物語はまあそういうことで。

もうひとつのおじいちゃん(井川さん)の氷解においては神戸さん(松重さん)の心が大きく関わっていて。野次馬の私からみてもこれはおじいちゃんが悪いぞと思えました。それを翔太(加瀬さん)がきちんと理を説いて改心させた訳ですが。始まりの頃には言いたいことも言えなかった翔太だった事を思えばおじいちゃんが得心したように確かに加奈(仲間さん)との出会いで変わったよなあと。

このふたつの「荒ぶれた」と表現する理由は、子供を押し付けられるなんて普通の人生の中でまず起こらない出来事。それを用意するのが荒技だよなあと。それにあんな人がごろごろわんさかいる中で何故二人が預かったのかという確立。これが奇跡かな。それと何十年もそうやって生きてきたおじいちゃんが孫の決然とした態度一発で心(考え方)が変わりうるのか。もっともおじいちゃんのほうは神戸さんに悪いことをしたという後ろめたさもあっての上のダブルインパクトという衝撃度があったということもあったのでしょうけど。とにかく強引とは申しませんが「荒ぶれた」という表現はまず出会わない出来事とそれと豪快に(勢いの激しい)という意味で使ってみました。

で、この二つの難関を潜り抜け、無事着地点へと目標が定まったところでドラマが終わったのですが。一発逆転の出来ない筈の赤ちゃんが出来たとかいう「ありえない奇蹟」は存在しなかったようです。

「あふれた奇跡」は割れ鍋に綴じ蓋みたいな藤本の張り合い。捨てる神あれば拾う神ありという方が適切か。翔太と加奈は晴れて周囲の祝福の元に未来を創造し始めてと。神戸さんは出稼ぎ稼業から足を洗えて益々仕事に身が入るでしょうし。すべて八方丸く収まり大団円という仕舞い方はパズルのピースが余ることなく全てピタッとはまったみたいな感じがしました。

まあ11話を要して語られたことは周りの二転三転の態度の裏返しと赤い糸にでも結ばれていたかのような当人同士の擦れ合い。絶対最後は結ばれるんだろうなという確信に満ちたような期待を抱かせといてあの手この手の手練手管で障害を繰り出す辺りはまさしく王道を往くドラマであって安心感がある筈なのに。何故か観るに深呼吸してからでないとさあ観ようという気にならない重苦しさは鬼籍に片足を突っ込みかけた人間が主人公という心持ちの再生という要素があったからなんでしょうか。

母親同士と父親同士の会話はなんか含蓄がありましたですなあ。どこがとかいうのは書き起こしませんがそうやって生きていけば確かに心根が穏やかにして活きていけるよなあと。実践できたらの話しですけど。

終ってみれば男女が出会い将来を誓うまでの紆余曲折が描かれていたってことになる訳で。確かによくある話しでありましてこれが「ありふれた」ことになるんでしょうかねえ。それにしちゃあやけに普通らしからぬ印象が強かったのはそれが「奇跡」だったからでしょうか。何が?よく分かりませんです。どうも私は修行が足らぬようでくっきりと眼に見えずなんとなくそんな気がしてきただけでした。負を背負って反芻してく人生ではなく恒に動いている人生のなかで迫り来る光りを遮らない生き方のほうがいいということなんでしょうか。なかなか難しいですね実践するには。でも春は貰えました。

希望としてはおじいちゃんが神戸さんに家族を呼び寄せてもいいと承諾することを伝えるシーンを観たかったなあ。それくらい仕事の実質的なお師匠さんであり、翔太が落ち込んだ時にはおもいっきり鼻の下伸ばして相好を崩し励まし子供の有り難味を諭したり最後は変わった姿をおじいちゃんに知らしめるきっかけを作ったりと、なにかと翔太にとっての救いの神である神戸さんに惹かれたんで観たかったなあと。もちろん玄関前の集合写真で全てが語られてましたから蛇足だというのは承知してるんですがくどいと言われても和解のシーンは観たかったなあ。

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