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ヴォイス・命なき者の声 その7

 第七話は石橋蓮司さんで決まりでせう。長年連れ添った女房が切り刻まれるを良しとせぬ姿。そして命なき者の声を届けられた際の真実を知るにつれ高まる慟哭の情。送りを済ませ普段に戻った後の犬に呟く穏やかな面持ち。

正直他は少し霞んだ感じです。多少推理物かという思いもこのドラマには感じていたので、これほどまで情を映すドラマとして心が揺り動かされるとは思ってもみないことでした。良かったですわ。

とは言ってもそれを導いたは大己(瑛太さん)と久保秋(石原さん)の熱意。真実の声を伝えたからこその感涙というものでありましょうや。

物語はもういいじゃないか静かにそっとしておいてくれという法医学とは逆の信念の愛情と法医学からのアプローチによってこそ到達できる想いの発掘という対立が描かれていたことが一点。他には羽井(佐藤さん)の葛藤とその壁を乗り越える様が描かれていた点という二本立て。

 死んだものはもう生き返らない。事件性があろう筈もなくもう済んだことなんだから畳の上で亡くなったのと同じように扱って欲しいという遺族の想い。もし自分がそう言う立場だったら確かにそう想うことでしょう。

このドラマでは、そのままであったならボケてしまったという思いで送り出すところを、そうではなくガンに侵され死期を悟った妻が後に残る旦那の為に懸命に最後の力を振り絞って生きていたことを知ることが出来た訳でありますが。

たとえボケてたと誤解していたとしても旦那さんの亡くなった奥さんへの想いは色褪せる訳でもなさそうでありまして率直な感覚でいえば解剖せずとも良かったのではないかと思ってしまいました。ちょいと疑問に思ったのは警察の方とかでは既往歴とかは事件性がないと調べるとかしないのかなと。もしそれが分かってたら解剖せずともおおよその見当はついただろうにねと。まあ興ざめな感想ですけんど。

そういう邪念が吹っ飛ぶくらいの石橋さんの存在感でありました。この出来事で亡くなった妻に対する想いがより強まったというインパクトに感動しましたです。ええ奥さんやあと。物言わぬ妻のイメージすらも全て担って表現されてる風でありました。食卓でのシーンが唯一であとは生前の奥さんの行動イメージ映像など提示されず観てる側が奥さんのイメージ風景を膨らませるしかなかったのですが十分イメージ出来ました。

 もうひとつの羽井が壁を乗り越えるという展開。解剖中止となってほっとしたという素直な心情の吐露とそれを支える亮介(生田さん)と哲平(遠藤さん)の友情。頑張らなくちゃと納得させる決めの台詞吐いておられましたけどあまり強いインパクト感じませんでしたけど仲間だよなあと。一人じゃ乗り越えられないものでも仲間とだったら越えていけるよなと思えました。また玲子(矢田さん)の煽り方が世の中甘くないを具現化してるようで優しいんだか冷たいんだか微妙なところが効いてましたです。

これでもう羽井は無事壁を乗り越え法医学への道まっしぐらになったんでしょうか。壁乗り越えということでいけば、亮介は偉大なおやじの壁を越えたみたいですし久保秋はわだかまりが消えて思い残すことないみたいだし。後残るは大己と哲平の二人ですか。出来れば大己は天職なんだから迷いや壁にぶち当たった様は見たくない感じがしますけどどうなるんでしょうかねえ。

 推理物ではなく人情物という装いと映ります。それにしては常識というネジが一本はずれてそうな大己が声を届けるメッセンジャーというのも奇抜というかなんというか。酸いも甘いも噛み分けた温情とは無縁なれどその役目を果たす様は見事ではありますな。

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