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犬神家の一族(2006年版)

この間、市川崑監督の遺作と銘打ってテレビで放映されてました。つっこみいれていいならユメ十夜じゃないのかい?という思いはありますがどういう基準なんでしょう。折しも同じ日に同じリメイク作品の椿三十郎もやってましたがやっぱり比べてしまうと市川崑作品を選んでしまうのでありました。どちらも初観賞と言う訳ではないのですが惹き込まれ具合を考えるとこちらに軍配が上がってしまいました。

ほんで、やっぱ思ったことは改めてオリジナルの方の凄さを思い知らされた印象を持ちました。というのも真っ向勝負のリメイクだからこそ比較出来るということと、はじめて観た時の衝撃のインパクトが強すぎて今もってその余韻を引き摺っているんだということを再確認したからなんですが。あまりいい表現ではないのですが何でリメイクしたのかしらむと不遜にもつい思ってしまいました。そういう感覚だったので感想書いても褒め言葉がでないだろなと思って記事にしてなかったんですがせっかくテレビでまたまた観る機会があったんだから大雑把に書いとこうかなと。

オリジナルが145分。リメイクが134分。それだけでも削った部分があるということで大きな違いなんだけれど実際見比べてみると結構違うものだと。もちろん台詞とか流れていくシーンとか漠然と観る限りラスト以外どこが違うんだ?と言う気にはなってきますが。私はど素人ですから具体的技法的にどうのという比較したって説得力無いですのであくまで受ける印象からの曖昧な感覚的な違いを書いておこうと。

ということでテレビ放映終わって直ぐオリジナルの方DVDで観直してみました。

身分の違いっていうんですかねえそれとも品が違うって表現の方が適切なんでしょうか。いいとこの育ちのお方(犬神家の人々)と粗野(猿蔵)と庶民と(はる)知的職業ながらも品がいいとこのお方(古館)との雰囲気の違いといった辺りのメリハリがオリジナルにはあるんですが、リメイクの方ではそれが薄れている感じがしますです。それが役者さんの違いによるものなのか演出によって変えられたものかは私如きの眼ではどうも読み取れませんですけど。この点に関してはオリジナルの方が私は好きです。特にこれぞ平民と言った感じの女中役の坂口良子さんとどこか卑屈な影がある古館役の小沢栄太郎さんが好物です。リメイクでは深田恭子さんと中村敦夫さんがそれぞれ演じられておられますが深田さんの場合悪い意味でお綺麗お行儀良過ぎます。おそらく育った時代が豊かな中で育ってこられた今の役者さんは皆さんお綺麗なだけでなく生活感が殆ど漂わない存在感をお持ちの方ばかりな感じがしてますんで深田さんが悪いと言うことではないんですけどね。中村さんは事件に対して恐れおののいてるという感じが強く犬神家の人々に対して卑屈になってる訳ではないように映りました。これについては事件への怯えを優先するか立場の格差を優先するかという好き好きでしょうから匙加減が合うか合わないかの違いだけでしょうけど。

三姉妹の仲。オリジナルの方が姉妹らしい距離を感じます。母も違うし遺産を争う仲ではありますが共に姉妹で暮らしていたという連帯感がオリジナルからはより感じられます。リメイクの方は互いに張り合っているというかどこかで袂を分かったような距離感を感じます。長女らしいしっかりさとは対照的な奔放な印象の三女役の草笛光子さんの末娘的らしい勢いが好みです。

オリジナルは猿蔵がいかにも怪しくて結構終わりの方まで猿蔵犯人じゃないかという線で引っ張られましたけどリメイクではそれほど引っ張られることなく軍隊服の男説が有力で押してるように映りました。観てるものを惑わすということではオリジナルに分がある感じでした。

画についてはリメイクの方が間違いなくけっこいものでした。クリアでしたし。でもオリジナルの白黒や宵闇の部分は黒くなっている部分とかもあり何がそこで起きてるのか良く分からない(観づらい)とことかもあるんですが、それはそれなりに頭で思い描いて勝手に補足する作業を要することが出来て奥深く感じられもするんですが。白黒の懐古シーンとかは今観ても斬新で色褪せてないインパクトを感じます。

音楽はリメイクの方が好きです。オリジナルはいかにも当時のポピュラー音楽という勢いで今ではもう古いというか情感が湧きにくくなってます。っていうか当時から疑問には思ってたんですけど。ま、実際は楽曲が替わってる訳じゃないので音の印象(乾いた印象の音だった)の違いによる錯覚なんですけどね。リメイクの方がしっとり感があってこっちの方が気にならなくていいかなと。

何を削り何で削ったかとかについてはさておいて変えてきた部分というものの意図を推察すると、分かりやすくするという印象を受けます。それによって明快さがより鮮明になってますですが、それによって日本の因習といったおどろどろしい部分が影を潜めた感じです。人間関係の陰湿さが生んだ事件というお話しだと思うんですけど明快にした分得体の知れない何かに突き動かされてという動機が薄くなった感じがしますです。オリジナルではどろどろしたものが取り払われてのエンディングという勢いだったので凄く晴れやかな気分になったことを想い出しましたが、リメイクの方ではその晴れやか感は薄かったです。

役者さんが違うと全体的に受ける印象も随分と変わるもんだなというのも面白いところでありますが慣れ親しんだ分オリジナルに愛着がある分リメイクが受け入れにくくなってるところがあります。

それだけオリジナルは私にとって「名作」であるがゆえに、ビー○ルズはオリジナルじゃなきゃ厭だと思うのと同じようなもんでいじるべかざるものになってる感じです。こういうのを偏屈というんでしょうかね。

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