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ハチミツとクローバー

テレビでもやってる今、敢えて映画の「ハチミツとクローバー」の話題を振るのは、まあそういうことです。原作は知らないので映画の中の彼らが多くの人からみてイメージ通りなのかは分かりませんが、私は映画で満足です。

映画で受けた全体的な印象は、切ない故の息苦しさみたいなものが画面を通して伝わってきたというところでしょうか。決して重苦しいものではなく「若者」というよりも芸術畑にいる人間独特の「馬鹿者」の雰囲気で、全体に流れがちな心の闇に吸い込まれそうな薄暗さと言うものを吹き飛ばしてる感じがします。

伊勢谷さんがそんな「馬鹿者」を説得力のある存在感で表現されているので、私みたいな鈍感なものでも、ここは美大の世界の物語なんだということが判ります。それに引っ張られるように他の役者さんたちもその世界の住人として違和感なく見ることができます。

その中でも、はぐみのいとこ花本先生役の堺雅人さんの研究室で森田からお土産貰うあたりのシーンのお芝居が実は私がんこツボです。というか「おおー!」と思わず感嘆してしまいました。滅茶苦茶ノーマルでなんのけれんもない自然な演技でこんなの見たこと無いと思える程リアルで本当にいそうな存在感がありました。オーディオコメンタリーで蒼井さんがマネージャーさんと二人で「上手いよねえ」とプロの方が何気に洩らされていたくらいですから私だけの感覚ではないと思いますがどうでしょう。

決して観終わって清々しい心持ちになるようなものではありませんが、苦いチョコレートを噛みもせずに口の中でとろけさせて余韻をずっと引きずるような味わいを感じます。片想いの切なさを描いた切ない話しと書いてしまえば実も蓋もない話しですが。見た目はチョコだからイメージとして甘い筈だけど食べてる当人にとっては苦いだけってことで。でも確かに青春という期間限定チョコを食らってるという。まあそんなイメージですよ私としては。

ハッピーエンドを好物とする私であっても、この終わり方でいいんだよなあと納得させられる雰囲気を持ちます。他人には心の内を知られたくない出来事というものを(どう言う立場でかはともかく)それを覗き見してる感覚で、まあ見てるものとしてはがんばれよと思うしかない感じになりますです。誰しもが大なり小なりこういう経験がある訳で、自分のことを振り返ってみると実とはなってるけど決していい想い出ではないという奴ですわな。もちろん年齢によって解釈は異なるんでしょうけど。世の中そんなに甘くないと言う奴ですよ。

あと、音楽が菅野よう子さんということで、興味のない方にはどうということもないんでしょうけれども、この菅野さんの独特な世界観を味わえると言うことでも魅力でもあります。スピッツも主題歌だし。

いづれにせよ、いい映画ですわ。時間的には116分で長い訳ではないのですが幾分まったり感がある(劇的な出来事が無い)ので感覚的には長く感じられる世界です。要はこれくらいでいいんじゃないのかなと。これ以上長いとちとダレそうです。役者力も世界観(時間の流れ方とか音楽や画の色調)も空気感距離感も愉しめてよく出来てると思います。

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