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蟲師

もちろん全てがフィクションだと言うのは分かってます。分かっている上での感想ですのであらかじめご了承のほどを。

深淵な面持ちになります。心も涼しいというか身を切られるような凛とした心持になります。無条件でこの世界に違和感なく入れるのは日本人としての誇りでもある訳で、山岳信仰を持ちえない人には理解できない悠久無限の世界ではないかというような感じがしてきました。ファンタジーという空想ごととしてでなく人間と自然が共存するにおいてありえた事象の誇張されたものとして理解できるからです。存在を疑わないと言うかあっても不思議じゃないってまあそんな感じです。蟲ってなに?とか迷信の存在とかを直感で感じられない人にはそっちの方に頭が行ってしまって取っ掛かりからついてこれない世界ではありますけどね。

でもこの世界観にはまった私としては、冬のこの時期に観るのはちと寒さを覚えます。私が普段身を律してないせいなのと平地でのほほんと暮らしているからでしょう。私ごときでも山にハイキング行ってた頃はここまで鮮烈ではなくともほんの少し何かの息吹を感じ取れたりしたこともありましたから。

物語には破綻も強引さもなく、最後まで見てる側が時間を忘れるくらい話しに引き込まれていくのですが、お話しがどうのこうのといよりもむしろ人間達の生き様を描いたものだと感じました。性(さが)を感じます。生まれた場所によってほぼその人の人生が決まる。それを疑問に思うことなく精一杯懸命に生きる。金銭による地位の区別ではなく、生き様の区別。否定もしなければ肯定もしない同調もしないあるがままのものを認めた上で接しあう人同士の距離感。

金田一シリーズが日本の負や陰の風習・因習を描いているのに対して、蟲師は畏れ・観念を描いているのではないでしょうか。

「むし」というタイトルから「虫」を連想してしまってこの作品に躊躇される方もおいででしょうがもったいない話です。こういう作品が広く伝わらないのはもっともったいない話です。今年観た中ではいまのところ一番惹かれた作品です。

DVDのカバーに「蟲を感じたらお知らせ下さい」と銘打ってありましたが、一瞬「無視を感じたらお知らせ下さい」かあと読み違えてしまいました。テレビドラマの「野ブタ・・」ほどじゃないけれど、孤独感にさいなまれる人を救う人達のお話しかあなんてね。確かに蟲に憑かれたらそうなるんだから間違っちゃいないことはないなんてね。それと裏カバーに記載されている「日本人のDNAに深く刻み込まれた原風景ともいうべき世界観」というフレーズは確かにって説得力あります。看板に偽りなしです。

画がけっこいのでタイプやしーと思ってたら、キャメラが柴主高秀さんで照明が長田達也さんだったんですね。エンドロール観て気がつきましたが、私なついちゃっていますこの画の懐の暖かさに。水中シーンの江角さんえらく耽美だなあと感じたんですが、それは水中カメラマンのさのてつろうさんの画らしいのでそれはそれこれはこれですが、VFXもさりげなく凄いんですがつくりものと思わせない説得力を感じます。要はバランスがいいんですよこれ見よがしなところがなくて。私こういう画大好物なんです。

脚本協力で鈴木卓爾さんのお名前がありましたが、訳のわかんない象徴性というか観念性の塊のようなとこは鈴木さんが関わってるのかなと勘繰ってしまう私は無礼者でしょうか。書き忘れました褒め言葉のつもりです。本来画として成立しえないなにかを画にされる方と判別しているのですけんど。

監督さんも役者さんもすんごい人ばかりなのでなーもゆーこたーありましぇん。

あんたねーこれ作るのにどんだけ大変か分かってる?といわれても又同じ世界観を味わいたいと想うのは我儘な客なんでしょうか私。

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