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大停電の夜に

なんか段々と暖暖なものが恋しくなって、久し振りに棚の肥やしになってるところを引っこ抜いて観てみました。十分熟成してるかなって作物じゃあないんだからやっぱそうそうお味は変わるもんではありませんでした。でも変わらないって逆に凄くね?保存の利かないスパイスの効いた瞬間性のものでなくジワジワと味が沁みついた保存食って感じですか。ただ132分は長いです私には。エピソードの数を考えそれらを手を抜かず描くと、この時間でも足らないのかもしれませんが。

2005年の作品。DVD発売は2006年。源孝志監督・脚本カリュアード

配役はがんこ豪華で、ちょい役でも見覚えのある方々が出てられまする。贅沢でおます。流石クリスマスってか。

撮影監督は永田鉄夫さん。フランスでご活躍されておられるそうです。なので画的に新鮮な感じがするのでしょうか。非常にイリュージョンっぽいと見ればそう見えてしまう色使いです。普段生活していて見かける色の深さではない上に赤・青とかの色使いが鮮明なのでリアルな生活をしている空気感は私には感じられませんが、居心地は悪くはないです。こういう画がフランス的なのかどうかは知りません。私は洋画は用がない。見ようが見まいが惜しくないので、ほとんど知りません。

正直なところお話しというかストーリーは好みではありません。でもこの映画の最大のウリは「夜の闇」を映した写真の美しさでしょう。ほぼ全編に近い宵と夜の帳(とばり)の闇の世界。でもその黒の先は決して何かがいそうな暗闇といものではなく、観る側に不安やを抱かせるものではなくどこか人間が本来持ち合わせている暖かいものを導き出すような落ち着きが感じられます。「陰」ではない「影」を想像させます。

北国ほどではないにせよ都会の冬のくそ寒い時期のお話しなのに何故か逆に温とい感じがしてきます。基本人生の迷える子羊達がそれぞれが持つ葛藤のひとつをにきびのようにつぶしてくお話しなんですが、にきびをつぶした後に化膿するのか完治するのかは想像にお任せという感じです。そういう意味では新たな始まりを切る前のウォーミングアップを見ているようなもんでしょうか。どのエピソードにも今日がピーク(最高潮)と言うのではなく、明日からという未来を考えさせるものを感じさせるのです。

人それぞれでしょうけど、これをハッピーエンドと呼ぶのかは微妙な気がします。夜が明けても眩しい朝陽が拝めないからでしょうか、すっきりとした晴れやかさがなくて、なんか祭の後の騒々しさが去った軽い脱力感みたいな味わいだからでしょうか。たしかにひとつひとつのエピソードを抱えた人達が脚本の妙という神のお導きででそれぞれ重なり合って動き回る様はおおきなイベントと言えなくもない気がします。清々しい疲労感を心地いいかどうかはホント人それぞれのようで、私は朝だ夜明けださあ今日だ位にあざとくして貰わないと分からない鈍感人なので。

そういいながらもまた観てるってのは無意識の印象の奥深いところで何か引っかかるものがあったと言うことなんでしょうね多分。それがなんぞやなんて眼を凝らして観るような無粋な真似はしたくない作品です。一人の生き様を描いた作品ではなく、とある異常な一日のレポートみたいなもんだから登場人物に感情移入して観るようなものではないと思ってるので、漠然と流れを見つめる感覚のほうが心地よいのです私には。正しい見方かどうかは別として。

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