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プルコギ

愉しい映画です。悪い意味じゃなく普通に面白くて普通に物語の展開に気を揉んで、そしていい芝居が観れて。こういう映画がドカンとは当たらなくても確実に商売として成り立つようになれば、もっと邦画がブームとしてではなく安定してくれば、質の高い役者さんやスタッフの皆さんの懐も潤うし映画で喰える人の数も増えると言うものではないでしょうか。

田村高廣さんの遺作になるんでしょうか。桃井かをりさん風に言うと「いやねえちょっとなに?この豪華なキャスト!もうたまんないわよ。」って感じで肉も贅沢かもしんないけど役者さんの方がもっと贅沢な感じがしました。倍賞美津子さんのお店の存在意義はよく分かりませんでしたがワンシーンのギャグだけで終いかいって突っ込みたくなるほど役者さんの使い方が贅沢に思える作品です。

田村さんの「家族とは」のセリフには成程コクがある味わい深いものを感じました。いいセリフですよねえ。説得力があります。生を全うした時のあの間の長さには役者魂を感じました。田村さんは「トラトラトラ」の淵田少佐役がとても印象に強く残っているのですが、ギラギラ感の抜けた悟りを開いたようなこの役も印象に残ります。もう次の作品が見れないと言うのは本当に残念。・・・です。

山田優さんですが、前作の映画でも感じたんですが、「モデル」という弩派手な存在感ではなく、綺麗なら綺麗に、おてんばならはっちゃきに、普通ならさりげなくと役者さんらしい存在感でよかったです。私的にはモデルさんの超派手なメイクよりもこういう顔の方が好きです。それに足の細過ぎるのもちょっち気にはなりました。モデルと役者の二束のわらじは大変なんですね。私としては役者さんとしての山田さんがいいんですが。「おはよっ。焼いてくれる?」というシーンが結構お気に入りです。

松田龍平さんは存在感がありますよねえ。画の中に入っているだけでなにかが起きるんじゃないのかと言う期待感を持ちます。役柄のせいなんでしょうが茫洋として掴みきれない大きさを感じました。今「青年」としての役が主でしょうけど、三十路に入ってなんでもこいっ!って年齢になったらどうなるんでしょうか。見てみたいものです。キレる時の演技には迫力感じるんですが、あまりそういう面を広げては欲しくないところです。じいちゃんとの会話で「・・・です。」と付け加えるセリフがタイプです。

前田愛さんが出てたなんて、エンドロールみて初めて知りました。で、見直したらこの役ですかぁ。イメージの壁を破った感じでいい風に騙されて気持ちいいです。普通こういうアイドル的レポーター(?)って営業スマイル全開って感じなのにそれを封じて前田さんのイメージを取り払ったんでしょうか。上手い事騙されました。

ARATAさんて私不勉強で初めて観た方なんですが、クールさと影のある陰鬱さが混ざり合っている複雑さをきっちりと表現されていて、しかも映像特典の舞台挨拶とかを見てそれらがご本人の資質でなく演技として作られたものであると認識しまして、上手い人なんですね。恥ずかしながらまだ「ピンポン」観てないんで、初めて知りました。

私は肉にはあまり興味が無いので、美味そうに撮るというスタッフのご苦労には関心が無く、物語と役者力ばかり観ていました。メイキングを見る限り、思わず食べたくなることに大変心血を注がれたようですが、肉食でない私としては「UDON」の方が食べたくなる度は高かったです。申し訳ありません。

監督さんはマルチな才能を持つ方であるとメイキングで紹介されておられたので映画一筋何十年といった方ではないようなのですが、そんなこと黙って映画のプロが作ったと言い張っても通用するような感じでした。アートというか表現に走らず観る側の事を思いやって作られた丁寧さを感じます。但し書きの要望が以下に付きますけど。

生き別れの兄弟が何故異国の日本で出会うのか。それと勝負においてそれまでの行いを恥じて幕を下ろす為に意図的にという行動と理解したのですが、真剣勝負の世界で手を抜く行為はしらけてしまって、ストーリー上であれだけ盛り上げてきた勝負そのものがつまんなくなることをなんであえて監督は選択したのかなど二人の行動については、アホな私にも分かるようにしてもらいたかったです。幼い頃の兄弟の別れのシーンは兄が車に乗って日本に連れられて行くっていう設定とかにしてもらえたら私でも分かるんですけど。

暴力には暴力で対応するという救出の解決手段と真実を伝え夢を売るテレビ局というものの中を暴力を利用してのし上がってきた人間が関係者として闊歩する様は、たとえリアルなことだとしても、せめて映画という夢の中の世界くらいはあってはならない事であって欲しい。・・・・です。

焼肉の啓蒙を図る映画であるならば、私にはあまり伝わりませんでしたが、役者さんを愉しむ映画であるとするのならば楽しい作品です。松田さんと山田さんが良かったです。興味をもってと言うかアテにしてた以外の役者さんにドキッとするのってなんか得した感じになるんですよね。田村高廣さん目当てだったんです私。ひねくれ者ですいません。

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UDONのような旅でした… [続きを読む]

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