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トタン屋根の家

トタン屋根の家に住んでた頃のお話。

雨の降り始めのポツンポツン。本降りの強く叩きつける音。風がなく真っ直ぐに屋根に落ちてくる打ちつける音。風雨が強くて雨粒が霧みたくなって風・雨と交互に聞こえる音。季節によっても少しづつ異なる音。正直いって騒音・ノイズだけれど、ラジオもテレビも聞こえなくなるけど、何故か心が豊かになって雨の日は好きだった。

ブリキのトタンは激しく、ビニールのトタンは柔らかく、風の吹きすさぶ音に心細さを感じながらも、何故か自分は生きてるんだという実感を感じる。不安を感じるがその分晴れたときの爽快さと自分は自然の中で生かされてるんだと言う感謝に近い感覚を憶えた。中学生という「生きる」というより「死」というものに思考回路のベクトルが向いていた頃だったのでより過敏になっていたのかもしれない。このまま息しないと死ぬのかなと思って息をとめてみたり。でも苦しいんだなあこれが。辛いより苦しい方がしんどいんだよねこれが。だから楽したいから生きるしかないんだと。死ぬのが怖いんじゃなくて苦しいのが怖いんだと。

足元のアスファルトやコンクリートから聞こえる寂しく無為な音でなく、頭の上から襲い掛かってくる音からは幾分かの恐怖と不安と畏怖を憶える。いつ終わるんだろうと言うことが、将来の見えない不安と混ぜこぜになり心細さを増長させる。だいだいがかった電球だけが暖かさを感じる。それさえ消すともう自虐の世界ではあるが頭が物凄く冴えた気になる。というか頭以外雨の日は働かすとこがない。そんな勘違いでも考えた気にさせてくれる雨の日が好きだった。

今その感覚を味わうとしたら、エンジンをかけずに車の中で雨が通り過ぎるのをひたすら待っていれば、その一端を感じられるけど、トタン屋根に比べたらまだまだっていう勢い。

そして夏はくそ暑くて家にいられないので嫌でも外出しなければならない。エアコンなんて無い時代だから「引きこもり」なんて体力的に不可能な生活を強いられた。

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