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さよならクロ

松岡監督は卑怯だと思う。最近でも東京タワーを題材に選ぶなど、これで泣けなきゃ人間じゃないという話しばかし持ってくる。本作「さよならクロ」だっていたいけな犬の一生を描くというど真ん中の直球で迫ってくる。映画が好きだからと感性に任せて貼りたい写真を貼り付けて物語を紡いでいくのと違って、職人として綿密に作り込んだそれでいてわざとらしさを見せない技術で作られた映画のような気がします。映画と言うものに芸術性を求める人には興味が湧かない作品かもしれませんが、職人が作った実用性の優れた逸品を愛でたい人には満足できる作品ではないでしょうか。

人前で大の男が泣くなんて恥以外の何者でもないと思っている私にとって、映画館で観るなんて言うことが出来るわけがない。なので、DVDで家でひっそりと観ました。

2003年作品  松岡錠司監督 撮影笠松則通さん 原作は藤岡改造さんの「職員会議に出た犬・クロ」

実話を映画化されたそうです。事実は小説よりも美暖なり。美しくあったかい作品です。内容については観れば分かりますので書きません。人に勧めて恥じる事の無い作品ですので、観た方がいいと思います。

笠松則通さんの画が好きなんです。「ぼくんち」とか「どついたるねん」とか阪本順治監督とよく組んでおられて、その画の作品ごとの匂いとか心情とかの濃い薄いの調整具合が私には合うというか過激でないところが好きなんです(「KT」はちょっと苦手ですけど)。この作品では犬という動物を描くにあたってペットのような綺麗綺麗じゃうそ臭いし、かといって野良犬本来の匂いたつ感じじゃ腰がひける人もでるだろうし、それに人とのバランスもあるだろうし、どう料理されるんだろうと興味深々でした。

時代背景を古くしたせいかもしれませんが、青々とした緑を抑えた渋味の柔らかい色調でカチッと硬派の写真でした。高校というより高等学校と言った方がしっくりくる決して子供の世界のお話ではありませんでした。先生も生徒も用務員さんもみな対等の大人の世界です。勿論クロも。

でもあれですよね、今のガキどもとの接し方のあまりの違いに違和感を感ぜずに観れるのは結構な大人じゃないと厳しいかもしれませんね。時代劇並みに昔あった古きよき時代の御伽噺にしてしまったほうが万人向けになったんでしょうか。そういう意味ではリアルを感じる世代とそうでない世代が入り混じっている今評価はバランバランに分かれるところなんでしょうが、私は好きです無条件とまではいかないけど。

できたら、せっかくの長野。一面雪の白の世界でクロが動き廻る景色を観たかったです。

役者さんでいうと井川比佐志さんが素ん晴らしいです。不覚にも泣いてしまったのは井川さんのせいです。獣医役の柄本明さんも好きですし、伊藤歩さんの手の仕草も好きです。先生役の塩見三省さんにも泣けるし、飄々とした先生役の田辺誠一さんもけれんなく存在感ありますし。なにより新井浩文さんの印象が強かったです。この前に「ジョゼ虎」を観てたのでそのギャップがね。

こういう作品が普段当たり前のように映画館でかかってたら、暇だからとパチンコ行かずにとりあえず映画館行くかってことになるんですけどねえ。泣かす映画はあれですけど。

しかしこのモデルとなった学校、「白線流し」のモデルにもなった学校だそうでいい学校だなあと思います。こんな学校で3年間暮らしていたら今みたいなひねくれた性格にはなっていなかっただろうなあと羨ましいったらありゃしない。

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