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陽はまた昇ると燃ゆるとき

会社員が企業戦士と呼ばれ、闘いの場が戦場(いくさば)から商場(あきないば)になっただけで、いつの時代でも野郎はなにかで戦っている訳で。

そういう視点でいうと、大東亜戦争以降の戦争活劇は企業を描く事にあるのではないのだろうかと考えるときがあります。少なくとも勝ち負けが生じ、名を馳せる者もあれば離脱する者もあり、過労死・鬱など身を削って全身全霊で、家族を二の次としても仕事を優先に考え生きなくてはならないなど、善も負も存在する戦いの世界だと考えても罰は当たらんような気がします。しかし映画で取り上げる企業戦争ものは、大体リアルに存在する企業の実話に基づくお話しが殆どではあるからなんでしょうが、どの作品にも何かに遠慮してるような「大人の配慮」が見え隠れたりして、そういう意味では大東亜戦争以降の戦争活劇にしては迫力や説得力が足りないような気がします。帝国陸海軍はもはや存在しないので思いっきり作り手の意思で描いても軍部からのクレームがないけど企業は存在存続していて様々なクレームや抑圧が実際にあるからなんでしょうか。

「陽はまた昇る」 2002年 佐々部清監督作品

西田敏行さん演じるMr.VHSが、瀕死の状態の事業部を起死回生の手腕と渡辺謙さんらをはじめとする部下たちの協力と努力でベータに逆転勝利する過程を描いた作品です。

この作品を観る前に、NHKのプロジェクトXを見ていたので、比べる気が無くても比べてしまいました。テレビでは本物の当時の写真当事者へのインタビューなどがあって説得力を感じました。いい番組だなと素直に思いました。その後に観たのですから満足のハードルが高くなっていたのは仕方ないことでしょう。

「彼を知り己を知れば百戦危うからず」米国の大作映画は敵を明確に作り上げそれに主人公が立ち向かう構図で水戸黄門状態(お決まりのパターン)を作り上げてきました。そういう意味では、ベータという敵を明確に示さず物語が進められたので登場人物達がいかに凄い事を成し遂げたのかが稀薄に感じました。勝ち負けを争う企業同士実在している故の大人の配慮なんでしょう多分。

それに私ビデオはベータなんです。この人達の活躍さえなければと思わないでもないので、この作品には諸手を挙げて「元気をもらった」とは書けないのかも知れません。現実の話を描いてしかもその事で利害が生じた出来事をまだ忘れていない人が存在する中で万人にむけて作品を発信するということは難しいことなんですね。

「燃ゆるとき」 2006年 細野辰興監督

カップ麺を主力とする食品会社のアメリカ進出においての七難八苦を描いた作品。我が身に置き換えて観れば、こういう場所で頑張ろうとする人は物凄く大人だと思っちゃいます。自分はお子ちゃまと呼ばれてもいいから好きで得意とする空間で働きたいと。作品で描かれる七難八苦は全部本人の意としないものばかりで、自分はなんでここにいるんだ?という疑問に答えられない状況ですから。

会社勤めを経験された方なら、目に見える力だけじゃなく、目に見えない力で物事が動いているというのはお分かりだと思います。上司の命令・目標ノルマといった目に見える困難だけでなく、慣習・置かれた立場といった空気感という見えない困難。他にも色々あると思いますが、個人個人を丁寧に描いたからと言って仕事という戦場を全て描きだせるというわけではないように思えるのですが。もう少し集団によって巻き起こる風のような雰囲気というものを感じたいです。

いづれにせよ、企業を描く作品は個を描く事には長けていても集をあまり描かない傾向を感じます。勿論人間が集まって出来ているのが会社ですし、役職という階級によって維持運営されていくのですから恒に言いだしっぺは人なんでしょうけれども、個に中心が行き過ぎていて集の見えない力を描くことが置き去りにされていると感じてます。

正義なんて立ち位置の数だけあるでしょうし、現代の戦場は命まで獲らない或る意味健全ともいえるわけで、勧善懲悪とまではいかなくても、スカッとする群像劇を観たいものです。おし、俺も頑張るぞ!と思えるような心の栄養剤を。「え?そういう奴は釣りバカ日誌観ろって?」んーなんか違うような。

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