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暗いところで待ち合わせ

よくできた映画だと素直に思います。映画館では観れなかったけど。でかい画面で空気感を味わいたかったです。原作は読んでいないのであくまでDVDからかしか読み取ろうとしてません。孤独を寂しいと思わない人には詰まんないと感じるかもしれません、子供むけではないけど、私みたいなお子ちゃまでも愉しめるんで見る人間をあまり選ばない作品だと思います。

いい作品だと思ってますので先に気になった事を書いて、後に好きな所を書いとこうと思います。サスペンスの要素が強いのでネタバレは禁じ手ですが私の表現力が拙いので書かないと説明できないので、もしそうだったらごめんなんしょ。

気になったところ(勿論何回か観て解決済みのものもありますが)

*近すぎないかい?

緊張感の為の演出なんでしょうが、盲目の方の研ぎ澄まされた感覚というものを考えると、玄関での最初の出会いの時点で気づかない事に無理があるような気がするのですが。まあ監修で専門家の方がついてられるでしょうから私の勝手な思い込みなんでしょうけれど。

ミチルの、気づいてない時とうすうす気づいた時の切り替わりが私には曖昧に感じて、ミチルの心の中の動きが中盤は把握しづらかったです。もし最初から気づいていたとしたらミチルの心の動きは私には理解できません。犯人として対峙した時の気風のよさを考えると、理解不能の存在感を感じながら日々を普段どおりに暮らすなんてことするのかなあと。(原作には事細かく描写されてるらしいんですが、監督がもし原作読んでから映画を観てというスタンスであったなら私は本読んでないのではしょり過ぎてると言うことになる訳ですが、もしそうならDVDと原作本セットで売って欲しいです。)まあ下衆の勘繰りでいえばミチルは心の奥で受動的でもいいから孤独からの脱出を望んで生きていたからだと思えば辻褄が合うんですけど正解かどうかは分かりません。

*なんでいるんだ?

最初観た時、アキヒロは逃げ続けているんだと思ってました。だから、どこか遠くへ行けばいいのに、なんで家の中で息を潜めていなくちゃいけないのか不思議だったんですが、彼の目的は逃亡ではなくある人物を探すことだったんですねえ。そう考えれば犯行現場にいつか現われるかもしれない人物を発見するためこの家を選んだというのは利に叶ってました。チェンボーリンさんの内向的で柔らかい芝居が上手すぎて、こういう自らの行動で事を解決するという攻撃的な行動をする人だとは思わなかったのでそういう意味で騙されました。普通どこら辺で気づくもんなんでしょうか。私は、佳境に入る頃まで気づきませんでした。私だったらとにかく警察に報告して警察に解決を委ねようと思いますから。自分と違う行動を取る人はやはり理解不能ですので強引に分かった気でいたいから勝手に性格を都合の良いように解釈してしまったんですけど。

それと、アキヒロはミチルの家に行った時点で、独り暮らしであることと目が不自由であることを確信はしてないまでも知っていた上で行ったように思えたんですがなにを根拠にそう考えたんでしょうか。メイキングを見たらその答えの部分は撮影されたみたいですが本編ではカットされたようです。

*映画だよね?

犯人を追い詰めるシーンだけは、なんかテレビのサスペンス劇場みたいでしたけど。それ以外全体では観ている側でも息を潜めないとやばいと思わせる緊張感と気づいている事を言ってしまっていいのだろうかという葛藤の二人の間のせめぎ合いを味わえました。お互いの奇妙な空間の中で同じところにいる微妙な間が心地良すぎたせいでしょうか、そこだけ中途半端に感じてしまいました。テレビで培われた習慣って怖いですね。

*作れないのかなあ

ただ単純にど素人が思うのは、役者さん用に視野をなくすコンタクトレンズとか作れないのかなあということ。そうすれば役者さんに余計な負担掛けずに済むと思うんですけど。

気に入ったところ

田中麗奈さんががんこいいです。ストーリーだけ追うとなると、サスペンスなので二度も三度も観れるとは思いませんが、役者力を愛でるということなら何度も観れることができます。事前に役作りをされて撮影に入られたとインタビューでおっしゃられてますが、目で芝居が出来ないにも拘らず「自然」という表現が違和感なく使えるお芝居で好きです。魅せるためにけれん味の効いた誇張というものを極力排除したお芝居。長まわしのシーンにも不要なことをせずただいるだけでいられる。さすが映画女優という感じです。メイキングをみても、そう見えるように表現で説明・装飾するのではなく、内面から湧き出てくる何かを積み重ねあげて熟成されて醸し出されるまでテイクを重ね発酵させるみたいなものを感じます。まあ監督さんが全然ぶれないからこそのお話しでしょうけど。

田中さんは映画一本で道を進んでおられて、私の希望とする役者像の具現者でおられるのですが、いかんせん可愛いのが玉に疵。成人を迎えた大人に対し、「可愛い」という表現を使うことは失礼に想えるので敬意に感じない私なんですが、田中さんにはつい猫系の可愛さを感じてしまいます。メイキングを見ると逆におばちゃんじゃないかと思える部分も垣間見えて、もしかしたら前世若しくは親戚に猫が一族の中にいるんじゃないかと信じてしまいます。或る意味年を取らない役者さんなんだろうなあ、何歳の役でもこなせそうな幅の広さを感じます。いい意味で「がんばっていきまっしょい」(遠州弁だと、なんしょがんばらまい)の時となんにも変わっていないのが凄いと思います。結婚しようがおっかさになろうが私生活に左右されない風に見えるのは女優さんとして強力な武器のような気がします。

チェンボーリンさんはいい。日本を代表する役者佐藤浩市さんも出てられるんですが、迫力・存在感はさすが佐藤さんのほうががんこ上ですが、その佐藤さんをもしのぐ線の太さを感じます。韓国の役者さん達にも太さを感じるんですが、逆に言えば今の日本人が豊か過ぎて野郎本来が持つ生命の図太さというものが後退しているともとれるんですが。メイキングのインタビューでこういう役は初めて挑戦したと述べられてますが、全くそう感じさせない存在感があります。

浪岡一喜さんはパッチギで血気盛ん、CMではもうすぐパパデビューの優しさを勉強中の若い夫、最近ではちびまるこちゃんの花輪君と、とにかくめちゃ幅広い役柄をこなす役者さんで要チェックしてます。

監督さんはこの作品を難しいから挑んだと言われていますが、なにが難しいことだったのか見てる方にはわかりませんでした。難しいことをしれっと行うなんてちと格好良すぎとは思うんですが、セリフに頼らない映画こそが活動写真と呼べる気がしてるのでそのとこだけはスゲーと分かるんですけどそれは田中さんとチェンさんの手柄って感じで、他はちょっとなにがスゲーのか違和感も刺激感もない穏やかな空気感が居心地よくて、なんかホントよくわかりません。見事に監督の術中にはまっているようです。しめしめと思ってるんだろうなあ多分。

それにしてもDVDの映像特典の量は凄いです。とは言え欲望は衰えることはありませんので言ったらきりがないんでしょうが、原作から映像化への困難さへの不安を監督さんも原作者の方もおっしゃっておられるのを見てしまうと、先にも書きましたが、原作本できれば脚本もつけてくれれば鬼に金棒状態のような気がします。パッチギのDVDには脚本ついてましたので、人間やってやれないことはないと言うとこをここらでひとつ証明して欲しいですな。

DVDは借りるんじゃなくて買って損はないと思います。本気で本編より映像特典が長いし、オーディオコメンタリーも二種類入ってるし、GENEONのDVDには「きょうのできごと」の時にも感じたんですがとても本気度を感じます(デラックス版と銘打ったのはそうでもないですが)。特に田中さんのこの作品に対する熱を感じます。しかし量が多くて濃密ですわ。とても一日で見切れるものではありません。でもこういう積み重ねで作品が作られているというのを見ると、ほんとただの視聴者でよかったと思います。愉しんでるだけでいいんですから。税込み4935円はお得感がありました。

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