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*くれる

「猫に餌くれた?」(猫に餌あげた?)当たり前に使っているし、共通語だと思っている。ただし共通語の「くれてやる」といったような見下ろすニュアンスではなく親しみの心情がこもった表現で使われるのでそういう意味では方言と呼べるかもしれない。ただし「花に水やりした?」とかを「花に水くれした?」とかいう言い方はない。

「釜に火ぃくべた?」の「くべる」が共通語だし、一応辞書で調べると、「くれる」も「くべる」も載っていて、使い方も地方独特なものではない。

「餌くれる」の「くれる」(くれてやる)は見下して物言う視点なので、「成敗してくれる」・「どうしてくれようぞ」というような昔ながらの言葉である。余談だが「どうしてくれようぞ」の意味の遠州弁は「どうしてくれすかやあ」となる。

文化的都会では差別・平等への意識が重視されて、現在は封印の道を辿っているのかもしれないが、遠州は田舎なので、そういう文化的思想が浸透してくるのにはまだまだ時間がかかる。それにモノ造りで飯食ってる遠州人としては親会社から「お前に仕事くれるわ。」と言われる事が素直に有り難いと思える環境だしね。

ある意味古い日本語を使っている貴重(?)な部族と言えなくも無い。

しかし面白い言葉である。大企業の係長から「仕事くれたる。」(仕事やるわ。)と下請けの社長が言われて工場に戻って社員に「仕事くれるって。」と言うと(仕事もらえるって。)に変化してしまうのだから。立場によって意味合いが変わるのがほんと面白い。

例文1

「あんた子供にがんこお菓子くれるもんでだに。ぶくぶくなのは。」

  (あなたねえ。子供がぶくぶく太ってるのは、あなたがお菓子のべつまくなし与えるからなんだよ。)

例文2

「花に水あんましくれなんだもんでかねえ。枯れちゃったよお。」

 (花にあまりお水あげなかったからかなあ。枯れてしまった。)

「どれ、見してみい。あれえあんたああれだにい。水くれなんだじゃなくてあれだにい。これえあんたあ根腐れしとるだであんたくれ過ぎだらあ。」

「あれいやだ。ホントにい。」

例文3

「あんまし肥料くれんで。くれ過ぎるとかえって駄目んなるだで。」

  (頻繁に肥料やらないで。やり過ぎはかえって悪いから。)

 

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1-2・遠州弁く行」カテゴリの記事

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