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深呼吸の必要

2004年 監督 篠原哲雄さん 脚本長谷川康夫さん

出演 香里奈さん・谷原章介さん・成宮寛貴さん・金子さやかさん・久遠さやかさん・長澤まさみさん・大森南朋さん

私にとっては紛れも無く癒しの映画です。きび刈り隊としてやってきた彼らがそれぞれ心の傷を持っていても、それなりに起こるアクシデントがあろうとも、心に余裕のない私のような人間にとってこの映画は癒しを与えてくれます。直接的なはっきりとした原因のある厭な事に対しては無効ですが、漠然とした不安や緊張を抱いている時に観ると、答えをくれる訳ではないんですが、何故かホッと一息つけるんです。

観てる側だけでなく、登場する彼らも最後には癒されていきます。風景についてもキャメラの柴主高秀さんの画が好きだし、照明は長田さんだし、もう言うことありません。

作品として大ヒットしてないのは、それだけ癒しを必要としていない人がまだ日本人の大部分を占めているからなんでしょう。まだまだ日本は頑張れるということでしょうか。

話しの内容はいたってシンプルで、期日までに畑のきびを刈る。その作業応援として都会から臨時に雇われた若者達が、泊り込みで同じ釜の飯を喰らいきびを刈る。ただそれだけのお話し。まあ勿論それなり(?)の事件や葛藤もありますがあくまで日々の営みの積み重ねがメインですから。

「リフレッシュではなくリセット」。そういうことなんでしょうか。

大森南朋さんががんこいいです。この作品で初めて知った感があります。この作品は大森さんを愛でる作品であるといってもいいような気がします。、こういうケレンが無くいたってシンプルな状況設定の中のお芝居で存在感を表わすのはそれなりの役者さんとしての力量が問われると思います。大きなことを言うわけでもする訳でもなく、それでいて観る者を惹きつけるには何が重要なんでしょうか。いかにもと見えるリアリティでしょうか?おじいとおばあも決まってます。この三人のうち誰かが画面の中に出てくると、画が締まるような感じです。きび刈り隊の彼らがここに集まったのではなく、ここに彼らが集まってきたという、主人公達は来訪者であって、あくまで目線の中心点は日々の暮らしの積み重ねですから。そんな風に見てしまうんでしょうか。

癒しというものは強要されるものではなく滲んで沁みこんで来るものなんでしょうか、とにかくお仕着せと言うものが無い空間です。「なんくるないさー」が沁みます。

なんかヨイショしまくりで物凄くいい作品みたいにとられるかもしれませんが、映画としたらそんなにいい出来だとは思ってません。いくら大地から人々を眺めた目線で映画が紡がれているんだからといっても主人公はきび刈り隊なんですから、彼らのここに来た目的の達成感、その表現方法が好きくないのと、ある種の祭りの後の寂しさが描かれていない。若しくは描ききれていない(おそらく最後のイベントで全て表現されようと思われたんでしょうけど)。あくまでエンディングは毎年の繰り返しという一貫した地元目線での締めくくりということになってますが。私としては船着場での島を去り行く情景を観たかったです。そのあとで映画の通りのエンディングに進んでくれたら良かったんですけど。欲をいえば最後の晩餐・夜も観たいです。

私が以前勤めていた会社では、1週間とか3週間の期間「研修」という名目で寮と言う名の5~8人相部屋にて初めて出会った連中と、朝も早よから寝入るまで、プライバシーの無い生活というものを経験した事がありました。楽しくもあり、しんどくもあったんですが、終わりが待っているから頑張った部分があり、終ったという開放感と一抹の寂しさが混ざり合った思い出深いものとして記憶の中に存在してます。そういうところできび刈り隊と幾分被るところがあるんですが、だからこそ終わりを描いて欲しかったのです。

不満な点もありますけど、想像力の欠如している自分のせいだと考えれば納得できなくも無いので、夏の暑くなる頃にはちょこちょこ見直してる飽きの来ない映画です。

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