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日本のいちばん長い日

1967年 岡本喜八監督 東宝創立35周年記念作品だそうです。

初めてみたのは、TVです。毎年終戦記念日近くになると、戦争を題材とした作品が見れた頃です。今も戦争の記憶を忘れないようにと、各TV局創意工夫の特番を見ることができますが、最近は映画を放映することが少なくなったというかなくなったというか。

この作品から受けた強い印象は、なにせ子供の頃だったので、自分が大人になった時はたしてこんな大業を成せる人間になれるんだろうかと、確固たる不安を抱いたことです。歳を喰ってその不安は、大業を成す地位に縁のない人生を送る事が出来ているので、的中することがなく、ある意味幸せではあります。

お話しの内容は、昭和20年8月15日の大東亜戦争終結の瞬間に至るまでに起こった、8月14日正午からの24時間の中の様々な人間が生み出すうねりを描いています。

戦争と言う狂気の中ではありますが、出てくる人全て、自分の正義という信念を持って行動しています。それが正しい事なのかどうかは見る側の判断に委ねる形で、ひたすらドキュメンタリーのように作り手の判断を押し殺したかのような、それでいて狙った獲物を逃がさないというような鋭い視線を感じます。

その後に生きてる私たちは結果どうなったのかは知っています。でもただポツダム宣言を受諾して戦争が終ったとしか知りません。結果に至るまでの経過をこの映画では教えてくれます。100%真実ではないにしても本当にあったことだと思っています。

もし、これが映画なんだから面白ければ事実と異なっていても構やしないということで作られているのであるならば、私は間違った歴史認識をしているということになります。

この作品では、天皇のご聖断という大きな流れによって動いていくわけですが、普段の世の中は一部の権力者達が動かすものではなく、人力ではないもっと大きい流れというものが存在していて、それに対して武力・政治力・人物の器力などで抗っても組しても、ただ粛々と流れて行くものでしょうか。虚しさを感じているのではなく自身が最善を尽くして事を成している人達の行動が集合体となって大きな流れを作り上げているのでしょう。自分の思い通りに世の中が動いてると思ってる人は一人もいないのかもしれません。ただその大きな流れの方向性を決める要因の一部を担っているだけなのでしょうか。

だとしたら功なり名を上げても、功なく名もなき人間であっても、生きてる満腹感はそうたいして変わらないともいえるのですが、こういう場所(地位)にいなければ人生良く生きたと満足感を味わうことはできないですから、やはり器の大きい人間には憧れます。

無条件降伏という異様な状況とはいえ、挙国一致という全体主義のこの時代でさえ、反対賛成に分かれるのですから、いつの時代にいても、自分の希望の妨害者は存在するということでしょう。強い人間になりたいものです。ですが泣けてくるくらいの物凄い重圧の中で自分の為すべき事を全うする三船敏郎さん演じる阿南陸軍大臣や笠智衆さん演じる鈴木首相みたいな「大人」には何度生まれ変わってもなれる気がしません。まあどの人をとってもなれる気はしないんですけどね。

158分は長いです。TVでは確か前編と後編に分けて放映されたような記憶が残ってます。しかしぐいぐいと引き込まれていきます。役者さんも凄いです。笠知衆さん・三船敏郎さん・志村喬さん・島田正吾サンなどなど挙げたら本当にキリがなく、DVDに謳ってある「日本映画演劇陣総出演」に偽り無しです。迫力とか存在感とか「大人」を感じます。真夏の一日の男たちの汗も何故か印象に残るアツい作品です。

DVDに添付されてる解説や、岡本監督の作風を考えると、私が映画を観て思ったことは物凄く的外れで、変な事を書いているんだと自覚はしているのですが、こう感じちゃったんだからしょうがありません。アウトローにもパワフルにもなれないし、なったことも憧れたこともないですから。

お祭りと書くと不敬ではあるのですが、今の役者さんたちで「日本映画演劇陣総出演」作品をつくるとしたらなにができるでしょうか。女性上位なので戦争活劇は難しいですよね、サラリーマンというか企業戦争モノくらいで落ち着くところでしょうか。

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